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矯正治療のゴール設定を考える

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正常咬合 normal occlusionとは

中心咬合位で咬合したときに上下顎の歯の対咬関係が解剖学的に正常とみなされる場合を正常咬合(→ヘルマンおよびフリールの説)と言います。しかし、解剖学的な接触関係のみでなく咀嚼筋、顎関節などの機能も正常である咬合を含めて正常咬 合と考えられるべきであり、年齢や地域性、個体 差などにより正常咬合は①仮想正常咬合、②典型正常咬合、③個性正常咬合、④機能正常咬合、 ⑤暦齢正常咬合に分けられます。

正常咬合の成立と保持されるための条件

正常咬合が成立あるいは保持されるためには以下の条件が必要であるといわれています。

1) 顎骨の正常な形態と発育:上下顎が正しく水平的にあるいは垂直的に調和のとれた成長発育することが正常咬合の成立に必要なことです。たとえば下顎骨の過成長または上顎骨の劣成長の場合は下顎前突や交叉咬合になることが多くなります。上下
顎の位置関係を評価するためには頭部X線規格写真の分析が必要となります。

2) 歯の大きさと形態の調和:歯の大きさや形態が解剖学的に正常で上下顎、左右側とおいて調和がとれていることが正常咬合の成立に必要なことです。たとえば上下顎前歯群の歯冠近遠心幅径の相関が低い場合、犬歯関係や被蓋関係に必要を及ぼします。また、日本人特有のシャベル状の前歯は異常な厚径のために前歯のオーバージェットに影響を及ぼすことがあります。

3) 歯の正常な咬頭嵌合および隣接面の接触関係:交合は1歯対2歯の咬頭嵌合で営むのが正常合を保持しやすい状態である。また、歯が隣接接触点で接触し、連続したアーチ状の歯列弓をもつことが咀嚼圧の分配と正常咬合の保持に必要なことです。たとえば本格的矯正治療終了後の樽状の形態をした歯は隣接歯と点で接触しているため、歯列弓の正常な状態を保持しにくくなります。このような場合はストリッピング*により隣接部を面接触にすることで理想的な咬合の状態を保持することができるます。

4) 歯周組織の健康状態:歯周疾患に罹患している症例は歯根の歯槽骨による支持が十分でないため咬合力や口腔周囲節による外力により歯が著しく楽し傾斜し、正常な機能を営むことが困難になります。たとえば臨床で多く見られるのが前歯部の歯間離開を伴う唇側傾斜があります。

5) 筋の正常な発育および機能:顎骨や歯が正常に発育し、正常な位置関係を維持しながら機能するために重要な因子に舌と口腔周囲筋(顔面・表情筋、咀嚼筋群)の機能とバランスがあります。つまり、舌の存在は歯列弓に対して外方に機能力を与え、口腔周囲筋は歯列を取り包むようにして歯列弓に対して内方に機能力を与えています。このように内方と外方からの筋の機能力のバランスによって咬合の保全が営まれており、バランスが崩れると不正咬合を誘発する原因となります。したがって、矯正治療により咬合関係が改善されても口座周囲筋の機能的バランスが崩れないように留意しなければいけません。たとえば大舌症は歯列を外側に押し出す力が強すぎて空隙歯列や前歯部の前傾、異常嚥下癖は開咬を生じます。歯列をとりまく筋肉のバランスのメカニズムをとくにバクシネーターメカニズム*と呼びます。

6) 顎関節の正しい形態と機能:正常咬合を営むために、歯や顎骨、筋のバランスが正常に保つことが必要ではあるが、実際に顎運動を機能させるのに顎関節の正常な形態と機能は重要です。顎関節部の発育不全など先天的に欠陥がある場合、咀嚼筋群の機能不全を招き咬合の乱れが生じてきます。顎関節部の機能不全は歯の早期接触や前歯部の被蓋関係、精神的要因などにより生じてくると考えられており、顎関節の正常な機能と形態は適切な上下顎の歯の咬合により保全されることとなります。

ミューチュアリー・プロテクティッド・オクルージョン

咬頭嵌合位にあるとき、臼歯部は前歯部が過剰に接触することを防ぎ、前歯部は下顎のあらゆる方向の偏心運動中、臼歯部を離開させる咬合様式を言います。

マルチブラケット矯正であろうが、インビザライン矯正であろうが大事なことは適切な治療ゴールです。
歯列・咬合が完成したところがもちろん矯正治療のゴールではありますが、正しい顎運動機能が行われているかということ、
これこそが矯正治療において大切なゴールと考えます。

犬歯誘導 

ミューチュアリプロテクテッドオクルージョンにおいて、犬歯における誘導が大切と考えます。

下顎の偏心運動を、犬歯が垂直、水平被蓋的によって誘導することを犬歯誘導(Cuspid Protected Occlusion カスピッド・プロテクティッド・オクルージョン)と言い、下顎の偏心、後方歯を離開させる役割を担っています。

ミューチュアリー・プロテクティッド・オクルージョンでは、偏心運動時(左右への運動)に犬歯によって前歯や臼歯が離開して保護するという、相互に影響し合う咬合様式とする必要があります。

犬歯による咬合誘導が正しく行われていないと、咀嚼の際に前歯や奥歯の歯や歯周組織への異常な力が加わり歯の寿命を短くしてしまったり、異常な歯の咬耗、顎関節症、頭痛などの原因になってきてしまいます。

矯正治療は単に歯の並びを治すだけのものではなく、正しい位置に歯をならべ、上下の犬歯関係を正しく整え、さらに下顎の前後左右への動きまでを考えて行わなければいけません。

矯正治療を終わる前に・・・

矯正治療を行う場合には、歯列と咬合を正しくつくりあげると同時に、実際に下顎の前方運動と側方運動のチェックを必ず行っていきます。

皆さんも鏡をみながらご自分でチェックできるので是非試してみてください!
残念ながら、この側方運動がうまくできていない人はすごく多いです。
あごを右にずらすときは、必ず右上の犬歯と右下の犬歯が擦れるようにして動きます。これが犬歯誘導です。
このとき、奥歯は当たらないはずです。これが、ミューチュアリー・プロテクティッド・オクルージョンが出来ている状態です。

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監修者

医療法⼈きらめき 理事⻑
アラインクチュールデンタルオフィス名古屋栄院 院⻑
インビザライン社ファルカルティ* ※公式認定講師
インビザラインダイアンモンドプロバイダ ※6年連続
インビザラインファースト部門世界シェア第1位 ※2019年

所属学会:日本矯正歯科学会/日本成人矯正歯科学会/日本小児歯科学会

⽵内 敬輔 Keisuke Takeuchi

愛知学院大学歯学部卒業後、北海道の矯正歯科にて研修を積み、2004年に愛知県にて子供向けの矯正歯科/小児歯科を開業。2014年にインビザライン・システムのライセンスを取得し、2015年に名古屋市では初となるマウスピース専門の矯正歯科であるアラインクチュールデンタルオフィスをオープン。また、2019年には銀座院もオープンした。20年の歯列矯正治療の経験を持ち、インビザライン・システム1,900症例を含む4,900症例(2022年5月現在)を手がけており、2019年には子供向けのインビザライン・ファースト部門で16万人を超えるドクターの中で世界シェア第1位を獲得している。その経験の豊富さから日本だけでなく海外の歯科医師たちに対し歯列矯正治療及びインビザライン・システムの教育や講演を多数行なっており、2021年よりインビザライン社のファカルティを務めている。 *インビザライン社カファルティとは インビザライン矯正に携わる歯科医師に対し、歯列矯正治療およびインビザライン・システムについての教育・指導を⾏うポジション (2022年3⽉現在国内22名)

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