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歯列矯正治療における抜歯の必要性は?

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名古屋市東区にあるインビザライン矯正専門クリニック、アラインクチュールデンタルオフィス 名古屋栄院です。今回は、矯正治療における抜歯の必要性に関してまとめてみました。

19世紀の末から20世紀の初めにかけて、アングル(Angle)の非抜歯論が主流となり、矯正治療においては抜歯が禁忌とされ、正常咬合を樹立することによって顎は発育するものと考えられていました。これに対してアングルの弟子であるケース(Case)らは審美性、咬合の安定性の面から矯正治療において抜歯が必要であると主張し、抜歯の是非が大論争となりました。

これ以降、現代に至っても未だ抜歯の是非については議論は尽きることがありません。

抜歯論とは

1923~1925年にかけてルンドストローム(Lundstrom)は歯槽基底論(アピカルベースセオリー)を唱え、矯正治療によって歯槽基底、すなわち顎の基底は改造することはできない。この顎基底が小さいときには抜歯しなければ、矯正治療によって打ち立てられた咬合は安定せず後戻りは避けられないと主張した。

また、非抜歯論を提唱したアングルの弟子であるツイード(Tweed)は治療後の後戻り症例を、小臼歯4本を抜歯して再治療し、咬合が最初の治療より安定していることを発見した。

さらに、アングルのもう1人の弟子であるベッグ(Begg)もまた、非抜歯による治療は予後が不良だという結論に達した。

こうして、アングル学派の中心人物の多くが臨床経験に基づき抜歯を許容する立場をとり、現在では抜歯論が認められるようになった。 ※歯科矯正学時点(クインテッセンス出版)より

抜歯の基準

矯正歯科治療の治療方針の決定に際して抜歯、非抜歯の判定(抜歯基準)は非常に重要な問題になります。この判定は歯列の模型分析だけでできるものではなく、頭部X線規格側貌写真の分析が重要となります。

ツイード(Tweed)の抜歯基準

模型分析から得られたアーチレングスディスクレパンシーと頭部X線規格側貌写真の分析から得られたセファログラムコレクションから得られたトータルディスクレパンシーの値から抜歯と非抜歯の判定を行うという考え方。

下顎歯列弓において利用できる歯列弓としてのアベイラブルスペース(一側の第一大臼歯近心面から他側の第一大臼歯近心面までの歯列弓上における長さ)と歯の配列に必要な空隙としてリクワイアードアーチレングス(左右側第一大臼歯より前方の歯をすべて配列するのに必要な量)との差であるアーチレングスディスクレパンシーを求め、次に頭部X線規格側貌写真上において下顎前歯歯根を通り、日本人ではFMIAを約57°とするような仮想軸を引き、これと実際の切歯軸との切縁位置の咬合平面方向での差を求める。
これを2倍にした値がセファログラムコレクションとなる。これから求められた値のアーチレングスディスクレパンシーとセファログラムコレクションの総和がトータルディスクレパンシーとなり、4㍉以下である場合を非抜歯症例、それ以上を抜歯症例とするという考え方。

スタイナー(Steiner)の抜歯基準

スタイナーの抜歯基準は頭部X線規格側貌写真の分析と模型分析の組み合わせにより、抜歯、非抜歯の判定を行うものです。下顎歯列弓について模型上での切歯位置の移動量、アーチレングスディスクレパンシー、スピーの彎曲の平坦化による影響、リーウェイスペース(E space)、治療による下顎第一大臼歯の移動量(Relation 6)や歯列の拡大、抜歯によって得られる空隙量、顎間力や顎外力の使用による影響を検討し抜歯、非抜歯の判定を行う必要があるという考え方。

ボーンハウジングと抜歯矯正

歯列矯正を行う際には、1本1本の歯を削るという方法が選択される場合があります。
実際にはどのような場合に歯を抜歯する必要性がでてくるのでしょうか?

ボーンハウジングについて

唇舌的あるいは頬舌的な歯槽骨の幅のことをボーンハウジングと言います。

歯槽骨とは

顎骨(アゴの骨)には歯根部を収納する凹窩があり、これを歯槽突起とよびます。歯槽突起は歯槽を形成し、歯槽骨は歯槽を支持する上顎および下顎の一部であると定義されています。
歯槽の入り口を取り囲む自由縁を歯槽縁、隣接歯間の歯槽骨を槽間中隔とよびます。単根歯の歯槽は1個、多根歯では各歯根に応じて隆起した骨壁でそれぞれ隔てられているのでこのような骨の障壁を根間中隔とよびます。

歯列矯正治療は海綿骨の範囲内で!

歯槽を形成する骨は外側(口腔前庭側)および内側(口腔側)の皮質と歯槽壁と皮質骨の空間を満たしている海綿骨からなります。

歯列矯正を行う際には海綿骨の範囲内でおこなうべきであり、過度な唇舌あるいは頬舌的な移動は歯根尖が皮質骨に触れて歯根吸収を引き起こすことにもつながりますし、歯槽突起が吸収し歯肉退縮を引き起こすことにも繋がります。

つまり、歯列矯正治療において歯列を前方及び側方へ拡大する際には歯槽を越えないように十分注意する必要があるということです。

CTによる抜歯矯正の診断

アラインクチュールデンタルオフィス名古屋栄院ではCBCT(歯科用コーンビームCT)を撮影して歯槽骨の幅と歯根の位置を確認したうえで歯列矯正の治療計画を行っております。

上から見た歯列矯正のビフォーアフター

シミュレーションでは治療前(左)に対して治療後(右)では歯並びがきれいに並んでいます。

横から見た歯列矯正のビフォーアフター

実際にCTを組み合わせたシミュレーションで確認すると下顎の前歯が歯槽から大きく外れてしまっているのが分かります。
このような計画で実際に矯正治療を始めてしまうと、歯槽から歯が逸脱し動揺が起こりますし、著しい歯肉の退縮が発生します。

最終的には矯正治療を行う前にCTにてシミュレーションを行い、ボーンハウジングの中に排列していることを確認してから矯正治療を開始することをお勧めします。

抜歯以外でスペースをつくる方法とは

1)歯列弓の拡大

前方拡大とは

歯列の長径を広げることを言います。
上顎の前歯が口蓋側に傾斜していたり、下顎の前歯が舌側に傾斜しているような場合には歯列弓の前方拡大を行います。
前歯の傾斜が標準的である場合に前方拡大を行ってしまうとボーンハウジングから歯根が逸脱してしまう場合があるので注意が必要です。

側方拡大とは

歯列弓の幅径を広げることを言います。
上顎の犬歯・小臼歯・大臼歯が口蓋側に傾斜していたり、下顎の犬歯・小臼歯・大臼歯が舌側に傾斜している場合に歯列の側方拡大を行います。
犬歯、小臼歯・大臼歯の傾斜が標準的である場合に側方拡大を行ってしまうとボーンハウジングから歯根が逸脱してしまう場合があるので注意が必要です。

後方拡大とは

歯列弓を後方に延長することを言います。
多くの場合、第三大臼歯(親知らず)が存在しますので、この第三大臼歯の抜歯を行ってうえで歯列弓全体を後方にずらすので後方拡大というよりも歯列全体の遠心移動とも呼ばれます。

第3大臼歯がもともと存在しない場合や第3大臼歯を抜歯してから長期間経過している場合には、骨の萎縮が起こり、後方への移動スペースが存在しない場合もあるので注意が必要です。

2)ストリッピング、IPR

歯を削る処置はストリッピングとよびますが、最近ではIPR(InterProximal Reduction)とよばれることも多いようです。歯と顎の大きさのディスクレパンシーの解消、上下顎の第一大臼歯及び犬歯咬合関係のⅠ級の確立のために歯の近心及び遠心の隣接面を削合する治療方法です。

最後に、名古屋市東区にある栄駅・久屋大通駅から徒歩5分のアラインクチュールデンタルオフィス 名古屋栄院では、見た目にはわかりづらい矯正治療のインビザラインと呼ばれるマウスピース矯正を専門とした矯正歯科クリニックです。
当院では「矯正歯科専門」という特徴を活かし、患者さまお一人に対して予約時間をしっかりと取っておりますので、しっかりとご納得いただいたうえで、矯正治療を行います。定期診察においては「プログレスアセスメント」と呼ばれるインビザラインの矯正治療における歯の動きが計画通り進んでいるか確認出来るシュミレーションソフトを活用し、ミリ単位で歯の移動状況をチェックしていきます。歯並びのことで気になることがございましたら、是非当院までご相談ください。

〒461-0005
愛知県名古屋市東区東桜1丁目9−19 成田栄ビル 3F
TEL:052-228-6996
予約:WEB予約

アクセス:
電⾞でお越しの⽅
名古屋市営地下鉄
 東⼭線/名城線 栄駅4番出⼝ 徒歩5分
 桜通線/名城線 久屋⼤通駅3B出⼝ 徒歩5分

車でお越しの方
当院には駐⾞場がございませんので、
恐れ⼊りますがお近くのコインパーキングをご利⽤ください。

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執筆者

医療法⼈きらめき 理事⻑
アラインクチュールデンタルオフィス名古屋栄院 院⻑
インビザライン社ファルカルティ* ※公式認定講師
インビザラインダイアンモンドプロバイダ ※8年連続
インビザラインファースト部門世界シェア第1位 ※2019年

所属学会:日本矯正歯科学会/日本成人矯正歯科学会/日本小児歯科学会

竹内 敬輔 Keisuke Takeiuchi

監修者

医療法⼈きらめき 理事⻑
アラインクチュールデンタルオフィス名古屋栄院 院⻑
インビザライン社ファルカルティ* ※公式認定講師
インビザラインダイアンモンドプロバイダ ※8年連続
インビザラインファースト部門世界シェア第1位 ※2019年

所属学会:日本矯正歯科学会/日本成人矯正歯科学会/日本小児歯科学会

⽵内 敬輔 Keisuke Takeuchi

愛知学院大学歯学部卒業後、北海道の矯正歯科にて研修を積み、2004年に愛知県にて子供向けの矯正歯科/小児歯科を開業。2014年にインビザライン・システムのライセンスを取得し、2015年に名古屋市では初となるマウスピース専門の矯正歯科であるアラインクチュールデンタルオフィスをオープン。また、2019年には銀座院もオープンした。20年の歯列矯正治療の経験を持ち、インビザライン・システム1,900症例を含む4,900症例(2022年5月現在)を手がけており、2019年には子供向けのインビザライン・ファースト部門で16万人を超えるドクターの中で世界シェア第1位を獲得している。その経験の豊富さから日本だけでなく海外の歯科医師たちに対し歯列矯正治療及びインビザライン・システムの教育や講演を多数行なっており、2021年よりインビザライン社のファカルティを務めている。 *インビザライン社カファルティとは インビザライン矯正に携わる歯科医師に対し、歯列矯正治療およびインビザライン・システムについての教育・指導を⾏うポジション (2022年3⽉現在国内22名)

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