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矯正歯科における精密検査とは

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歯のレントゲンと分析資料

歯列矯正治療を行う際には、必ず形態的検査と機能的検査が必要になります。

一般的には、精密検査と呼ばれます。

形態的検査

最適な歯列矯正治療を行うためには、その症例における治療目標と治療方針の決定、治療術式の選択、治療経過の予測と予後の推定までも含めた正確な診断が不可欠です。このためには症例の現在の実態や、原因と考えられる要素の正確な把握、診断に必要な資料を系統的に収集、検査を行う必要があります。この検査は形態的検査と機能的検査に大別されます。

1)全身的検査
2)顔面写真:①正貌の観察 ②射位の観察 ③側貌の観察
3)口腔内写真
4)口腔模型:①模型の観察 ②模型計測
5)予測模型(セットアップモデル)
6)X線検査:①歯、顎のX線検査 ②頭部X線規格写真の診査 ③そのX線写真

1)全身的検査

全身的な疾患、あるいは症候の局所症状であることが疑われる場合には、必要に応じて専門家による診察を受けたり、種々のX線写真の撮影、心電図、脳波、血液検査などを行う。

全身的検査事項の要点

1)家族歴:遺伝、先天異常の有無、家族の顔貌や顎態
2)母親の健康状態:妊娠中および授乳期の母親の健康や栄養状態
3)栄養、体格:母乳か人工栄養か、離乳時期
4)発育と健康状態:全身の状態
5)既往歴および現症:内科的疾患、鼻咽頭疾患あるは外傷の有無
6)悪習癖
7)乳歯について:乳歯う蝕、乳歯列期における不正咬合
8)心理的背景:気質、家族内におけるこどもの位置、嗜好など
9)矯正治療に対する要求の度合:知識あるいは治療への協力度

2)顔面写真

矯正治療において治療目標と治療方針の決定、治療術式なの選択ならびに治療経過の予測と予後の推定などを含めた正確な診断を行う際に必要不可欠な写真の1つです。口腔内写真と同様に形態的検査における重要な資料となります。被写体を一定規格のもとに固定して一定条件で撮影する場合には顔面規格写真とよび、正貌(正面像)、左右側貌(側面像)、45度斜位などがあります。

観察の要点

1)正面からの観察
①顔の形状(円形、方形、逆三角形)
②上顔面高と下顔面高の関係
③顔面の左右対称性
④口唇、口腔周囲筋群の緊張状態
⑤下顎の開閉運動時側方への偏位の有無

2)側面からの観察
①中顔面の突出あるいは陥凹
 顔面タイプの分類;凸型(convex type)、凹型(concave type)、直線型(strraight type)
②軟組織側貌の観察
 エステティックライン、ホールダウェイライン、スタイナーラインによる分析
③頭蓋に対するオトガイ部の位置
④下顎角の大きさ
⑤下顎下縁平面の傾斜
 ハイアングル(high angle)、ロウアングル(low angle)

3)口腔内写真

矯正治療において治療目標と治療方針の決定、治療術式なの選択ならびに治療経過の予測と予後の推定などを含めた正確な診断を行う際に必要不可欠な写真の1つです。顔面写真と同様に形態的検査における重要な資料です。口腔内写真は接写撮影が必要です。実際の撮影では口角鉤を使用し、口唇を排除して撮影します。また、歯列を咬合面から撮影する際は専用のミラーを口腔内に挿入し撮影します。

撮影方向

①中心咬合位の正面、左右側面
②上顎および下顎咬合面
③切歯部側面
④必要に応じて、開口状態、顎運動時の写真

観察の要点

①上下歯列弓の正中線の関係
②前歯部の咬合状態(オーバージェット、オーバーバイト)
③臼歯部の咬合状態(近遠心的、頬舌的、垂直的)
④歯列弓の形態
⑤個々の歯の植立状態、形、大きさ
⑥乳歯の早期喪失、晩期残存
⑦硬組織疾患の有無、処置状態
⑧軟組織の付着状態、疾患の有無
⑨舌の大きさ
⑩口腔内の清掃状態

4)口腔模型

口腔内を直接詳細に観察することは、多くの制約を受けるために困難な場合が多いです。そこで口腔内の状態を口腔外で再現し、あらゆる角度から直視、診査、検討するために製作される石膏模型を口腔模型といいます。この模型は、補綴物製作時に使用する作業用模型のような精密さは要求されないため、既成トレーを用いて、アルギン酸塩印象材により印象採得を行うことが多い。

矯正治療用の口腔模型は、個々の歯、歯列弓の精密な型や大きさを伝えるだけでなく歯槽基底部の大きさについての情報を得る必要があるため唇側舌側すべて、できる限り深く印象しなければいけません。また、上顎では上顎結節、下顎では臼後結節まで印象されていなければいけません。

顎態模型と平行模型

顎態模型は顎態模型調整器という一種の顔弓を用いてフランクフルト平面、正中矢状平面、眼窩平面の三平面を模型上に再現し、顎態診断を行うための模型です。

平行模型は咬合平面を基準とし、模型の上下の基底面が咬合平面から等距離にあり、かつ平行であるように調整されたものになります。

5)予測模型(セットアップモデル)

予測模型は、矯正治療を行うにあたりその模型上で矯正したい歯を1本1本分割し、それを希望する歯列、および咬合状態に再排列したものになります。これによって抜歯の必要性、歯の移動量および方向についての検討を行うと同時に、治療後の配列咬合の状態の予測を行います。

6)エックス線検査

エックス線検査は矯正診断における形態的検査の一種であり、1歯2歯のみではなく顎骨も含めて全歯について行う必要がある。

1.歯、顎のX線写真

主に全顎のデンタルX線写真とパノラマX線写真を用いますが、必要に応じてオクルーザルX線写真などを追加撮影します。

1)デンタルX線写真:通常は10枚法あるいは14枚法で撮影します。
 【観察の要点】
  ①歯数の過不足(過剰歯、欠如歯の有無)
  ②混合歯列期の歯の交換の様相(後続永久歯の萌出状況と歯根の形成状態、乳歯歯根の吸収状態)
  ③未萌出歯の埋伏状態(方向や位置)
  ④歯根の形態や吸収の有無
  ⑤硬組織疾患の既往歴やその処置の判読
  ⑥歯槽骨の状態(吸収の有無、緻密性)
  ⑦歯根膜腔の肥厚状態、骨性癒着(アンキローシス)の有無

2)パノラマエックス線:パントモ型とパノレックス型の2種類があり、通常パントモ型エックス線写真(オルソパントモグラム)が用いられます。 
 【観察の要点】
  ①口蓋烈症例の顎骨および歯の状態
  ②歯数の過不足(過剰歯、欠如歯、埋伏歯の有無)
  ③歯の形態異常
  ④歯の交換の様相(後継永久歯の萌出状況と歯根の形成状態、乳歯歯根の吸収状態、萌出路の異常)
  ⑤第三大臼歯の有無および萌出方向
  ⑥骨性癒着
  ⑦歯槽骨の状態(吸収の有無、緻密性)
  ⑧顎関節の形態

3)オクルーザルX線写真
  【観察の要点】
   ①デンタルX線写真では位置づけの困難な埋伏歯や過剰歯
   ②口蓋裂症例での破裂の位置やその周辺の歯や骨の状態
   ③急速拡大の治療効果の判定

2.頭部X線規格写真

幾何学的に一定の規格のもとで撮影された頭部のX線写真のことです。これには頭部X線規格側貌写真、頭部X線規格正貌写真、頭部X線斜貌写真があります。

【観察の要点】
 ①脳頭蓋の形態
 ②頭蓋底部を基準として顎骨の位置関係
 ③頭蓋底部を基準として歯の位置および傾斜
 ④上下顎骨の形態および相互関係
 ⑤顎骨を基準として歯の位置および傾斜
 ⑥上下顎の歯の相互関係
 ⑦顎顔面の軟組織および口唇の形態
 ⑧鼻咽喉の疾患および気道の狭窄
 ⑨顎骨と舌骨および脊柱との位置関係

3.その他のX線写真

1)顎関節のX線写真
顎関節癒着症、顎の過形成や減形成、その他の顎関節症にはパルマ法やシュラー法などにより顎関節のX線写真を撮影し、その形態、位置、動きなどについて検査します。

2)断層X線写真
埋伏歯などの位置や方向の確認、顎矯正手術の際の上顎骨や下顎骨の形態の把握、顎関節の形態の精密な検査に撮影します。
※アラインクチュールデンタルオフィス名古屋栄院においては、2023年2月より歯科用コーンビームCTを導入しております。

3)手根骨のX線写真
骨の形成状態を調べることによって個体の生理的な成長発育を判断する最も一般的なのは、手根骨(リストボーン)のX線写真によって、骨核の出現、大きさ、形態を調べる方法になります。拇指尺側種子骨(セサモイドボーン)は、ビヨルク(Bjork)によれば全身的な成長のスパートより約1年早く出現すると言われています。

4)オトガイ下顎頭頂方向X線写真
顎矯正手術などで下顎骨の形態や相互位置関係にについて検討します。
※現在、アラインクチュールデンタルオフィス名古屋栄院においては、オトガイ下顎頭頂方向X線写真の撮影は行っておりません。

機能的検査

機能的検査は歯自体の形態的要因によって決定される中心咬合位と、機能的要因すなわち筋や顎関節などによって制限される下顎の位置との間に存在する可能性のある不一致や不調和を検査することを目的としており、形態的検査と同様に矯正治療においては必要不可欠な検査です。

機能的検査の代表的項目を以下に示します。
1)顎運動の検査:①下顎位 ②運動路 ③早期接触 ④咬合音
2)筋機能の検査
3)発音の検査
4)頭部X線規格写真による機能分析法
5)ファンクショナルワックスバイト法による機能分析

矯正治療を行う前の歯列とその周囲の軟組織はある程度調和のとれた関係にあります。矯正治療によってもう1つのバランスのとれた関係を確立するべきか、または治療前のバランス状態を維持するべきかを機能的検査により正確に把握することが、矯正治療後に安定した予後を生むことになります。

1)顎運動の検査

顎運動の検査は機能的検査のうちの一項目であり、その目的は下顎の変位や機能的不正咬合なでの有無を検査します。
1)下顎位:①中心位 ②中心咬合位 ③安静位 ④最大開口位
2)運動路:①限界運動路 ②咀嚼運動路 ③咬合閉鎖路
3)早期接触:下顎閉鎖路において下顎が変位を起こすような上顎と下顎の歯の接触関係が問題となります。
4)咬合音:上顎と下顎の歯が咬合したときに発生する0.01~0.3秒程度の接触音です。中心咬合位が短い咬合音を呈し、中心咬合位が不安定で上顎と下顎の歯の間に滑走が生じているような場合には振幅が小さく持続時間が長い咬合音となります。
5)機能的分析法:早期接触や咬頭干渉がある場合、下顎はそれを避けるため反射的に異常な咬合位をとります。下顎安静位から中心咬合位に至る過程で、早期接触により下顎が大きく前後左右に偏位するものを機能的不正咬合といい、この機能的因子を分析する方法を機能的分析法といいます。
 ①頭部X線企画写真による機能分析法
 ②ファンクショナルワックスバイト法

2)筋機能の検査

咀嚼筋は咬合、顎関節とともに機能咬合系を構成します。機能検査の目的は、咀嚼筋の静的および動的な状態を客観的に把握することにあります。筋機能の検査では、問診、視診、触診により口腔周囲筋や咀嚼筋の性状や疼痛の有無を診査します。

3)発音の検査

発音とは言語音を発することをいい、音声器官すなわち肺、気管支、気管、喉頭、咽頭、口腔、鼻腔、およびこれらに隣接する諸器官が働いて行われます。高度の不正咬合を有するにも関わらず何ら構音障害を認めないものや、逆に咬合には何の問題もないはずであるのに構音障害を呈するものがるということが示すように、言語音の伝達系の中には構音障害を引き起こす原因が数多く存在し、相互に影響し合っています。

ブルーマー(Bloomer)は、口腔と顎の構造とその機能関係について以下のようにまとめています。
1.正常な構造+正常な運動=正常な発音
2.異常な構造+非順応的な運動=発音不良
3.正常な構造+非順応的な運動=発音不良
4.異常な構造+順応しない運動=正常(代償的)な発音

すなわち、舌、口唇、その他の音声器官は口腔や顎の構造的変異に柔軟に対応し、代償的な運動を行うということになります。
しかしながら、無声歯茎摩擦音[S]は最も誤って発音されやすい音であり構音障害を有するものの90%近くが[S]音の発音に困難を伴うと言われています。そして、このような構音の誤りは年齢を重ねるごとに強く条件づけられ、また誤り方もより固定化されたものとなります。発音の検査はこの誤りの存在を明確にすることを目的としており、発音時の患者の口元の様子の視診とともに、発せられた言語を術者が聴診することにより検査を行います。

4)頭部X線規格写真による機能分析法

トンプソン(Tohompson)により発表された方法で、下顎安静位と中心咬合位の頭部X線規格側貌写真の撮影を行い、得られた2枚ののフィルムをトレースしてS-N平面で重ね合わせることにより、下顎安静位から中心咬合位に至るまでの経路における下顎の変位の方向を把握しようとするものになります。この下顎の運動経路は下顎閉鎖路と言われ、顎関節を軸とした回転を伴った運動であるため下顎前歯部と下顎頭部では変位の様子が異なります。その変位の方向は下顎切歯点の変位の方向で代表されます。機能的正常咬合の場合、咬合閉鎖路は後上方に、機能的下顎近心咬合では機能的正常咬合よりもさらに前方に向かうことになります。この方法の欠点は、基準となる下顎安静位の客観的な決定法が無いことであり、正確さを期すためには2枚以上の下顎安静位の頭部X線規格写真を撮影し、その変動の有無を検討する必要があります。
1)計測点
  I:咬合位における下顎前歯切端
  I’:下顎安静位における下顎前歯切端
  D:後頭骨基底下縁上における下顎頭の中点
  Gn:咬合位におけるグナチオン
  Gn’:下顎安静位におけるグナチオン
2)閉鎖路の方向
  閉鎖路の方向は∠Ⅱ’ーSNによって評価されます。機能的正常咬合者では、この角度が76.59±12.04°となるとされています(神山)。機能的下顎近心咬合では機能的正常咬合に比べてこの角度が小さくなり、機能的下顎遠心咬合では大きくなります。

3)機能的誘導量
 機能的誘導量はDGn’ーDGnによって評価されます。機能的正常咬合では理論上DGn’ーDGn=0となりますが、神山によればこの値は0.95±0.82㍉であるとされています。機能的下顎近心咬合では機能的正常咬合と比べてDGn’ーDGnが小さくなり、機能的下顎遠心咬合では大きくなるとされています。

5)ファンクショナルワックスバイト法による機能分析法

モイヤース(Moyears)により発表された方法で、患者さんに軟化した蝋堤を咬み込んでもらうことによって早期接触による求心性刺激を遮断し、個体の理想咬合位を記録するものです。モイヤースによれば理想的咬合位とは筋平衡の位置、つまり無意識の嚥下をしている間の顎の位置であり、通常の咬合位のように歯によるものでも、また後退位のように骨の関係性によるものでもなく、むしろ本質的な反射によって決定された顎関係であるとしています。

ファンクショナルワックスバイト法により採得された理想的咬合位と習慣性咬合位が一致していれば、その個体は機能的正常咬合有しているということになり、一致していなければ機能的な異常が存在するということになります。この方法はすべての機能的不正咬合の診査、診断、そして乳歯列や混合歯列において咬合調整を行う際の、早期接触部位の診断にも有効です。

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アラインクチュールデンタルオフィスは、名古屋・栄にあるインビザライン(マウスピース矯正)を専門とした矯正歯科です。
「最高レベルの歯列矯正を最適な費用で。」をコンセプトとし皆様のご来院をお待ちしております。

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監修者

医療法⼈きらめき 理事⻑
アラインクチュールデンタルオフィス名古屋栄院 院⻑
インビザライン社ファルカルティ* ※公式認定講師
インビザラインダイアンモンドプロバイダ ※6年連続
インビザラインファースト部門世界シェア第1位 ※2019年

⽵内 敬輔 Keisuke Takeuchi

愛知学院大学歯学部卒業後、北海道の矯正歯科にて研修を積み、2004年に愛知県にて子供向けの矯正歯科/小児歯科を開業。2014年にインビザライン・システムのライセンスを取得し、2015年に名古屋市では初となるマウスピース専門の矯正歯科であるアラインクチュールデンタルオフィスをオープン。また、2019年には銀座院もオープンした。20年の歯列矯正治療の経験を持ち、インビザライン・システム1,900症例を含む4,900症例(2022年5月現在)を手がけており、2019年には子供向けのインビザライン・ファースト部門で16万人を超えるドクターの中で世界シェア第1位を獲得している。その経験の豊富さから日本だけでなく海外の歯科医師たちに対し歯列矯正治療及びインビザライン・システムの教育や講演を多数行なっており、2021年よりインビザライン社のファカルティを務めている。 *インビザライン社カファルティとは インビザライン矯正に携わる歯科医師に対し、歯列矯正治療およびインビザライン・システムについての教育・指導を⾏うポジション (2022年3⽉現在国内22名)

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